不整脈とは
不整脈は、心臓の電気信号の発生や伝導に異常が生じ、脈拍が不規則になる状態を指します。心臓は洞結節から電気が発生し、心房と心室に伝わることで全身に血液を送っていますが、この過程に問題があると不整脈が起こります。
不整脈の種類
不整脈には、脈が遅くなる「徐脈」、速くなる「頻脈」、脈が飛ぶ「期外収縮」の3つのタイプがあります。
徐脈(徐脈性不整脈)
- 脈拍が正常値より極端に多くなる(1分あたり100回以上)
- 「頻脈」と呼ばれることもある
- 脳梗塞の原因や、失神・突然死に繋がる危険な頻脈もある
- 運動や緊張した際に、健康な人でも頻脈になることがありますが、この場合は治療の必要はありません
頻脈(頻脈性不整脈)
- 脈拍が正常値より極端に多くなる(1分あたり100回以上)
- 「徐脈」と呼ばれることもある
- 危険な徐脈の場合、失神や突然死に至ることがある
- 本格的なスポーツをする人は、健康であっても迷走神経の高ぶりで生理的な徐脈になることがありますが、この場合は治療の必要はありません
期外収縮
- 本来規則的であるはずの脈拍が、不規則になる(飛ぶ)こと
- 飛んだ後の拍動が強く感じられ、「ドキッとした」ように感じられることがある
- 30歳を過ぎたころから、健康な人にも認められる
不整脈の症状チェック
不整脈には多くの種類があり、それぞれ異なる症状を引き起こします。分類によって症状も異なり、以下のような症状が見られることがあります。
動悸(心臓の動きを不快に
感じる症状)
①一度の拍動で送り出される血液量が増える ②頻脈(脈の異常な速さ) ③脈のリズムの異常 これら3つの異常が生じた時に現れる症状です。
めまい・立ちくらみ・失神・けいれん
脈が異常に遅くなる、または速くなる場合のどちらでも現れる症状です。脳に十分な血液が供給されないため、めまいなどが生じます。
息切れ
頻脈によって酸素供給が滞り、体内で必要な酸素を取り込もうとするために息切れが生じます。不整脈により細胞への酸素供給が不足することが原因です。
胸痛
不整脈が原因で胸痛が生じることがあります。心臓は全身に血液を送りますが、不整脈により心臓自体への血液供給も減少し、心臓の神経が刺激されて痛みが発生します。この胸痛は心臓そのものから感じる痛みです。
意識を失う
不整脈によって一時的に心臓が停止することで、意識を失う場合があります。
不整脈をそのままにしたときの影響
不整脈は失神や動悸などの症状を引き起こし、日常生活に影響を与えることがあります。動悸の原因は問診で予測し、心電図検査で不整脈を診断して治療の必要性を判断します。不整脈の種類によっては心機能が低下し、心不全に進行することや、脳梗塞などの重篤な症状に繋がる場合もあるため注意が必要です。
不整脈の検査
不整脈が疑われる場合は、以下のような検査を行った上で診断します。
血液検査
不整脈の診断には、心臓の電気信号を拾って波形として画像化する心電図検査が一般的です。通常の心電図検査では数秒から数分しか記録できないため、検査時に不整脈が起こらなければ診断できないことがあります。
24時間ホルター心電図検査
小型の装置を装着し、ご自宅での連続24時間の心電図波形を記録します。どのような時に、どのような不整脈が起こっているのかを、正確に知ることが可能です。頻度が低い場合は、ホルター心電図検査でも不整脈が検出されないことがあります。
超音波検査(心エコー)
心臓の大きさや収縮、弁の動き、筋肉の厚さ・動きなどを超音波で調べます。心臓に異常があるかどうかを判断するのに役立ちます。
不整脈の治療
徐脈性不整脈は症状がなければ経過観察が一般的ですが、めまいやふらつき、失神などの症状が出た場合にはペースメーカーの治療を検討します。頻脈性不整脈や期外収縮は、症状の程度や頻度に応じて、薬物療法やカテーテル・アブレーションといった治療方法が選択されます。
薬物療法
抗不整脈の処方などを行います。心房細動と診断された場合には、脳梗塞を予防するための抗凝固薬を処方します。
カテーテルアブレーション
治療
カテーテルアブレーションは、近年広く行われている治療方法です。脚の付け根などからカテーテルを挿入し、レントゲンや3Dマッピングシステムを使って心臓まで進め、不整脈の原因となる部分を内部から焼いて抑制します。この治療方法は、心房細動や期外収縮などの不整脈に対して効果的とされています。
※ご希望の場合には、専門機関をご紹介させていただきます。
ペースメーカー治療
心臓にペースメーカーを植え込み、一定のリズムで電気信号が送られることで、正常な拍動をサポートします。
※ご希望の場合には、専門機関をご紹介させていただきます。
不整脈の予防と対策
不整脈の予防には生活習慣の改善が最も効果的です。
具体的には、過度な疲労やストレスの解消、適度な運動、十分な睡眠、脂肪やコレステロールの多い食事を控え、バランスの取れた食事、禁煙・禁酒が推奨されます。また、発症していても自覚症状がない場合があるため、定期的な検診で心臓機能を確認することが重要です。