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睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは
何か?

睡眠時無呼吸症候群とは何か?睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に一時的に呼吸が止まる状態を指します。医学的には、睡眠中に10秒以上呼吸が止まる無呼吸や、呼吸が弱くなる低呼吸が、1時間あたり5回以上繰り返される状態を指し、これにより睡眠の質が著しく低下します。
睡眠時無呼吸症候群には、閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)の2つのタイプがあります。

閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)

閉塞性睡眠時無呼吸タイプは、何らかの原因で気道が狭くなり、無呼吸が起こります。睡眠時無呼吸症候群の中で最も一般的なタイプです。

中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)

中枢性睡眠時無呼吸タイプは、脳や神経系の異常により、呼吸中枢の働きが低下することで無呼吸が起こります。

夜間・起床時や日中の
症状チェック

睡眠時無呼吸症候群の夜間の症状チェック

大きないびき

睡眠時無呼吸症候群の代表的な夜間の症状に、断続的な大きないびきがあります。大きないびきは無呼吸の前兆とされており、無呼吸が続くと低酸素状態に陥るため、重症度の目安にもなります。

睡眠時の無呼吸

睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、睡眠時の無呼吸です。無呼吸が繰り返されることで、睡眠の質が低下するだけでなく、身体に様々な悪影響を与える可能性があります。また、睡眠時無呼吸症候群は大人だけでなく子供にも発症することがあります。

大人の場合は、最長で1分以上呼吸が止まる状態が繰り返し起こります。10秒以上の呼吸停止が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、または1時間に5回以上ある場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
子供の場合は、無呼吸状態が10秒未満であっても、呼吸停止が2回以上ある場合は、睡眠時無呼吸症候群と診断される可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群の日中の症状チェック

夜間の症状に気づきにくい場合でも、起床時や日中の体調から、睡眠の質の低下に気づくことができます。

起床時の口・喉の渇き

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に長時間口呼吸をするため、起床時に口や喉の渇きを感じることがあります。また睡眠の質が低下すると唾液の分泌が減少するため、口や喉の渇きがさらに強く感じられることがあります。ただし起床時の口や喉の渇きは睡眠時無呼吸症候群の特有の症状ではなく、他の原因による脱水症状と間違えないように注意が必要です。

日中や仕事中の強い眠気

睡眠時無呼吸症候群の特徴的な症状の1つに、日中の強い眠気があります。これは睡眠の質が低下し、十分な休息がとれないことが原因です。そのため起床時に熟睡感がない、日中に強い眠気に襲われることがあります。日中の眠気は、睡眠時無呼吸症候群の重症度が高くなるほど、顕著に現れる傾向があります。

慢性的な疲れ・疲労感

睡眠時無呼吸症候群により睡眠の質が著しく低下すると、慢性的な疲労感を引き起こされることがあります。不眠症や睡眠不足でも疲労感は起こりますが、睡眠時無呼吸症候群では、より強い慢性的な疲労感に見舞われます。

集中力の低下

睡眠時無呼吸症候群による睡眠の質の低下は、日中の集中力の低下を引き起こします。仕事や勉強に集中できなかったり、ミスが多くなったり、記憶力が低下したりすることがあります。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は、上気道が塞がることで起こります。上気道の閉塞の主な原因は肥満ですが、日本人の場合、顎が小さいことが原因となるケースが多いのが特徴です。
上気道の閉塞を引き起こす原因として、以下のようなものがあります。

  • 顎や首の周囲に脂肪が蓄積している
  • 扁桃腺が大きくなっている
  • 舌が大きい
  • 顎が小さい
  • 鼻が曲がっている
  • 舌が気道に落ち込みやすい など

睡眠時無呼吸症候群に
なりやすい方の特徴

睡眠時無呼吸症候群になりやすい方の特徴上気道が閉塞する主な原因は、上気道周囲の組織量が増えることであり、代表的なものに肥満による脂肪沈着があります。そのため、睡眠時無呼吸症候群は肥満傾向の方に発症しやすく、生活習慣病との関連性も指摘されています。また、高血圧、糖尿病、心血管疾患、脳血管疾患とも密接に関係していると言われています。
睡眠時無呼吸症候群になりやすい方の特徴には、以下に挙げるものがあります。

性別は?

睡眠時無呼吸症候群は男性に多く見られ、男女比は2~3:1となっています。これは、男性の方が上半身や頸部に脂肪が付きやすい傾向にあるためと考えられています。

年齢は?

睡眠時無呼吸症候群は、男性では30~60歳代の働き盛りの世代に多く見られます。女性の場合は、更年期以降に罹患率が高まる傾向があります。また、睡眠時無呼吸症候群は大人だけでなく子供にも発症することがあります。

生活習慣は?

睡眠時無呼吸症候群は、糖尿病や高血圧、心不全などの生活習慣病と密接に関係しています。生活習慣病の主な原因は生活習慣の乱れであり、食生活の乱れや運動不足、就寝前の飲酒の習慣、喫煙習慣は、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める要因となります。

見た目や体型・体格は?

以下のような体型や体格の方は、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいと言われています。

  • 首が太く短い
  • 首の周囲に脂肪がついている
  • 上気道がもともと狭い
  • 肥満体型
  • 下顎が小さい
  • 下顎が後退している
  • 舌や舌の付け根が大きい
  • 鼻が曲がっている
  • 歯並びが悪い など

ただし、上記のような特徴があるからといって、必ずしも睡眠時無呼吸症候群を発症するわけではありません。骨格的にリスクがあると認識しておきましょう。

重症化するとどうなる!?
合併症は?

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質が低下することで身体に様々な悪影響を与えます。主な合併症には、高血圧、不整脈、脳卒中、糖尿病などがあります。

合併症

高血圧

睡眠時無呼吸症候群は、二次性高血圧の原因疾患の1つとされており、主な合併症に薬剤抵抗性高血圧があります。薬剤抵抗性高血圧とは、薬物療法では血圧を目標値まで下げられない高血圧のことです。睡眠時無呼吸症候群の方に非常に高い割合で発症しますが、睡眠時無呼吸症候群を治療することで、高血圧の改善が期待できます。

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不整脈

不整脈とは、心拍が異常に速くなったり遅くなったり、リズムが不規則になったりする状態です。睡眠時無呼吸症候群の患者では、心房細動の発症頻度が高いことが知られています。心房細動は、心房が十分に収縮できないために心不全を引き起こしたり、心房内に血栓が形成されて脳梗塞を引き起こしたりします。

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脳卒中

脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管が破れて出血する脳出血があります。どちらも脳細胞が損傷を受け、言語障害や麻痺などの後遺症が残る可能性のある病気です。重症の睡眠時無呼吸症候群では、脳卒中の発症リスクが高まるとされています。

糖尿病

睡眠時無呼吸症候群による間欠的な低酸素血症と睡眠の分断による交感神経の亢進は、糖代謝に影響を与えると考えられています。この影響により、インスリン抵抗性が悪化し、糖尿病の発症リスクを高めると言われています。

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睡眠時無呼吸症候群の
診断方法

睡眠時無呼吸症候群の診断方法睡眠時無呼吸症候群の診断には、自覚症状の問診や、睡眠尺度評価(エプワース眠気尺度)が用いられます。この尺度では、自己申告方式で眠気の程度を評価し、合計点数が11点以上になると病的過眠領域とされ、睡眠時無呼吸症候群の疑いが強いと考えられます。
睡眠時無呼吸症候群は、以下の検査を行うことで正確に診断することができます。

スクリーニング検査

指先にセンサーを装着して、睡眠中の血中酸素濃度を記録します。これにより、無呼吸による低酸素状態が確認できます。

簡易無呼吸検査

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合、自宅で行える簡易無呼吸検査を行います。鼻と指先にセンサーを装着し、睡眠時のいびきの音や気道の狭窄、無呼吸の有無を記録します。睡眠中の無呼吸の程度は、無呼吸低呼吸指数(AHI)という数値で評価されます。

精密検査PSG
(ポリソムノグラフィー)

PSGは、簡易検査の結果によって、睡眠中の脳波、心電図、呼吸状態、血中酸素濃度などを詳しく検査する必要があると判断された際に行われる検査です。
※ご希望の場合には、専門機関をご紹介させていただきます。

睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群には、以下の治療方法があります。

適正体重を維持・減量

適正体重を維持・減量減量は、睡眠時無呼吸症候群の改善に効果的な治療方法の1つです。肥満の程度によっては、減量することで完治する場合もあります。減量の方法としては、食事療法と運動療法を組み合わせることが一般的です。バランスの取れた食事と有酸素運動を行うことで、無理のない範囲で減量を進めます。

アルコールを控える

アルコールには筋肉を弛緩させる作用があるため、上気道の閉塞を助長する可能性があります。そのため、就寝前の飲酒が習慣化している方は、飲酒を控えることが睡眠時無呼吸症候群の改善に有効な方法です。

CPAP(シーパップ)療法

CPAP(シーパップ)療法CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療方法です。鼻に装着したマスクから空気を送り込み、その圧力で気道を開いた状態に保ち、無呼吸の発生を防ぎます。

マウスピース療法

マウスピース療法は、軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群の方に適した治療方法です。睡眠中にマウスピースを装着し、下顎を前方に固定することで気道を広げ、上気道の閉塞を防ぎます。装着感には個人差があり、CPAPほど根治的な治療にはなりませんが、持ち運びができるため、旅行時の携行用としても使用されています。